Intellectual Property Newsletter (Vol. 72)

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1 事案の概要
本判決は、乳がんの処置に使用されるエリブリンに係る後発 医薬品(「原告医薬品」)の製造を計画する者(「X」)が、先発医 薬品(「被告医薬品」)の発明(「本件発明」)に係る各特許権 (「本件特許権」)を有する者(「Y」)に対する本件特許権に基 づく差止請求権(予備的に将来の差止請求権)の不存在確認 の訴え、Y及び被告医薬品を製造する者(総称して「Yら」)に対 する本件特許権の侵害を理由とする損害賠償請求権(予備的 に将来の損害賠償請求権)の不存在確認の訴え、Yらに対する 原告医薬品が本件発明の技術的範囲に属しないことの確認 の訴えを提起した事案です。結論として、裁判所は、Xの訴えに つき、いずれについても確認の利益がないと判断し、訴え却下 判決を下しました。 以下では、紙幅の関係から、現在のYの本件特許権に基づく 差止請求権及び現在の本件特許権の侵害を理由とする損害 賠償請求権不存在確認の訴えについて、紹介いたします。

2 本件の経緯
Xは、令和3年5月7日頃、Yらに対し、2週間以内にYらにおい てXに対し、Xが承認の申請準備を進めている原告医薬品の製 造販売について本件特許権を行使しないことの確認をするよ う求める旨の通知をしました。これを受けてYは、令和3年5月 21日、Xに対し、YらはXによる原告医薬品の製造販売について 本件特許権を行使する可能性がある旨回答しました(「本件回 答」)。
その後、Xは、令和4年2月25日、厚生労働大臣に対し、被告 医薬品の後発医薬品として、原告医薬品の製造販売について の承認の申請をし、また、原告医薬品の製造販売を予定して開 発を進めており、製造販売についての承認の申請及びGMP適 合性検査の申請のための原告医薬品の製造を行っています

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