Intellectual Property Newsletter (Vol. 73)

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Ⅰ はじめに
本件は、「軟骨下関節表面支持体を備えた骨折固定システ ム」に係る発明について特許権(「本件特許¹」)を有する原告X が、被告Yによる橈骨遠位端用固定プレート(「Y製品」)等の販
売等が本件特許を侵害すると主張して、Yに対し、Y製品の販売 等について差止等請求を行った事件です(結論として、裁判所 は、Xの請求を全て棄却しました)。争点は多岐に亘りますが、
本稿では、均等侵害成否²の判断部分を紹介します。

Ⅱ 本件発明³の構成要件⁴・Y製品の構成

本件発明は、手掌手首骨折の固定のための固定プレートに 係る発明です。 本件発明の構成要件1Jは、固定プレートの頭部に備えられ た「第1の組の孔」及び「第2の組の孔」⁵について、「前記第1の 組の孔の前記軸線は、前記第2の組の孔の遠位側に突出し、前 記プレートが遠位橈骨に連結されると、前記第1の組の孔の前 記軸線が前記第2の組の孔の前記軸線間を通って、前記遠位 橈骨内に延びるように構成され」る構成を規定しています。 これに対し、Y製品では、孔の軸線は1本に定まる構成が採 用されていました。そのため、「第1の組の孔」の軸線は、遠位橈 骨内で「第2の組の孔」の軸線の間を通るように「第2の組の孔 の軸線」と交差することはなく、構成要件1Jを充足せず、文言侵 害は成立しません(この点については当事者間に争いはありま せん。)。

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